――黒薔薇屋敷の呪いについて公表_2020/02/25
▼ 黒薔薇屋敷について ▼
◇外観
∟おびただしい数の黒い薔薇と茨に覆われた大きく立派なお屋敷
◇内部
∟長い廊下は永久に終わらず、部屋数も無限という物理法則を無視した造り
∟庭園やプール、図書館や映画館等の娯楽施設も内在
∟大広間や暖炉付きの談話室、楽器完備の音楽室等、怪物向けの場所も点在
◇人間用の個室
∟攫われてきた人間各々には専用の個室が用意される
∟食事や衣服、生活必需品は知らぬ間に補充される
∟娯楽品等を所望する場合は、提供達と要交渉
◇脱走
∟前述の通り迷宮同然の造りであるため脱走は不可能
∟万が一屋敷の外に出れたとて、人喰い茨の森を生きて抜けることは人の身には不可能
◇常闇の世界
∟このお屋敷は人間界とは違う位相の空間にあるため、常に月が昇る闇夜の世界
∟太陽と青空を見たいなら、バケモノに頼んで図書館や映画館へ連れて行ってもらう必要がある
◇危険性
∟中には提供達の様な理性と知能を持たず、ただ人間を屠殺し喰らうだけのバケモノも存在する
∟奴等は常に気まぐれに廊下を徘徊している
∟故に、自室の外に出てお屋敷を探検したいなら、提供達の誰かをお供にするべき
∟命が惜しいのならば、間違っても一人で出歩いてはいけない
▼ 黒薔薇について ▼
その正体は、今までにこの屋敷にて生涯を終えた人間たちの魂。
怪物と恋や共依存に落ち、捕食される運命から逃れたとしても、短命な人間にはすぐに寿命がやって来る。
捕食されれば言うまでもなく、肉体という器を失う。
怪物に隷属するということは、その魂を怪物に、ひいては屋敷に捧げるという事。
この屋敷を覆い尽す黒薔薇には、その一輪ごとに様々な愛憎や純情劣情が宿っている。また、怪物たちと触れ合う中で、心が揺れ動けば動くほど、それに応じてより瑞々しく美しい花弁を身に纏う。
そうして、全ての花が美しく、永久に咲き誇るのである。
▼ 使い魔について ▼
特定の提供をご主人様と定め、主や屋敷の運営に従事する報酬として、主の魔力を分け与えられる魔族(提供)の眷属の総称。
主の魔力は使い魔にとって血液や水分、食事と同類であり、その供給が断たれれば消滅する運命にある。
無論、怪物たちは自分の使い魔をなんだかんだ可愛がっているので、そのような悲劇は未だ一度も起こったことがない。
尚、主やその友である怪物たちに捧げる獲物として、相応しい人間を選定するのは使い魔の大切な仕事であり、引いては選んだ人間を屋敷へ攫ってくるのも使い魔の使命である。攫ってきた人間たちの身の回りの世話を焼くのも勿論使い魔の日常業務。
コウモリ、カラス、黒猫、蝶々等、使い魔たちは往々にして小動物の姿をしており、用件のない時は常に主の傍に侍る。使い魔を経由して、あなたの部屋へ提供を呼び出すことも可能。
▼ 黒薔薇屋敷の呪いについて ▼
お屋敷へ閉じ込められているのは、実は怪物も同じ。彼らは人の世が何度も移り変わるほど昔から、この黒薔薇の屋敷へ縛られている。
あなたと怪物の相違点は、このお屋敷へ永遠に呪縛される運命を、全ての怪物が受け入れている事。中には半ば諦観を抱く者もいれば、望んでここにいる事を選んでいる者もいる。
怪物たちの役割は、黒薔薇の庭園を守ること。その番人たる証として、怪物はそれぞれの身体のどこかに黒薔薇の痣を刻まれている。誰が何の目的でそれを命じたのかは、怪物たちへも意図的に秘匿されており、知ってはいるけれど記憶を封じられている状態。この先どこかでその記憶が甦る可能性もある。
この一連の秘密をヒトへ語る事は禁じられており、怪物たちも敢えて自分たちの事には触れられないように振る舞う事が多い。
黒薔薇の番人の役目を放棄することは絶対に許されない。